鴨川もるもー

日々の日記、雑記ブログ

苔の話 小さな植物の知られざる生態 著:秋山弘之

タイトル通りの本です。

苔に関する全般的なことが書かれています。
苔に興味があって、もう少し知識を得たいなー。でも、論文読むほど熱心ではないんだよなー。って方にピッタリです。

読み通すと、著者からの苔愛が至るところから伝わってきます。
それに専門書とも異なり、雑学の他に苔庭ガイドのページも用意されています。もちろん、コケ学の専門的な話も少し紹介されていますので、幅広い方に楽しんで読み通してもらえるのではと思っています。

乾燥しても死なない点、有毒成分を取り込んで共存する苔、抗菌作用、匂いと味、吸水及び保水性、光合成による二酸化炭素吸収効率、etc。
苔が地球温暖化の救世主になる可能性もあるなんて、面白いですね。

苔と日本人と題して、慣用句や万葉集、俳句に至るまで、文学的なアプローチもあるのは、個人的に大好きです。愛蔵本決定ですね。
コケにしやがって!というセリフも、ルーツはきっと苔なんですよね。この本を読むと、もうそんなセリフ言わせません。

観察法や栽培方法、はたまた苔の退治方法まで記載するなんて、正に苔づくしです。

これらとは別に、最近の図鑑は写真物が多い点にも触れており、そのメリットとデメリットが述べられています。
写真物の図鑑が増えたのは、植物図を描ける職人が減ったのも理由の1つのようです。
写真は写真で見やすいのですが、どうしても個体差や地域差という壁にぶち当たります。
この点も述べられていたので、なるほどなぁと思わずにはいられませんでした。

苔本はまだまだ数少ないので、現在入手できる貴重な1冊です。
皆さんの苔入門の1冊になれば幸いです。