以前、ショッピングモールの出入口の外側で、見ず知らずの人に声をかけられたことがあります。
あの、スミマセン。今、チョットいいですか?
見た目は日本人っぽかったのですが、話し方で日本人ではないというのはすぐ分かりました。
私の代わりにお酒を買って欲しデス。もちろん、お金は払います。サントリーの〇〇というウイスキーで、何件も探して回ってやっとココで見つけました。値段は○千○百円。ウイスキーと引き換えに○千円渡しマス。お釣りはいりません。
(お酒飲まへんし、〇〇っていうウイスキーなんか知らん。転売目的?)
そんなん、自分で買ってきたらええやん。
1人1本限定のお酒なんデス。
もう1回並んだら?
駄目でした。顔も覚えられてしまいマシタ。
(並んだんや)
んー。1人1本しか駄目なら、諦めなしゃーないな。
サントリーのウイスキー、中国にいるおじいさんにどうしてもプレゼントしたいデス。おじいさん、とっても喜びます。
既に1本買ってるやん。
もう1本欲しいデス。
(欲張りな奴やなぁ)
買ってあげたい気持ちはあるけど、決まりは決まり。協力はできひん。日本にいるならルールは守らな。
分かりマシタ。しょんぼり。
何百円のお釣りで人のことを釣ろうとしている魂胆が気に食わない。それにおじいさんに2本目を送ろうとする強欲さ。謙虚さが足りない。
もしかすると、おじいさんの話も作り話で、もう何本も入手しているかもしれない。
例えウイスキーを買ってきても、本当にお金が支払われるか怪しいもんです。取引は信用されない側による先払いが原則。それは持ち逃げのリスクがあるので、手付金の支払いが妥当か。
とか、色々考えてしまいました。
気になったので、まずはウイスキーの確認。
お酒売り場に行くと、確かに限定ウイスキーがあるが、レジに声をかけるシステムだった。さっきの中国人はここで顔を覚えられたんだな。押し問答してる様子が目に浮かびます。
元々どこかで時間を潰す必要はあったので、出入り口付近のフードコートで時間を潰します。
1時間位は、さっきの中国人がウロウロしてました。
だんだん可哀想に思えてきて、よしっ、もう一度話だけでも聞いてみるかと思った時には、さっきの中国人は見当たらなくなってました。
酒屋を見に行くと、限定ウイスキーは売り切れてしまったようです。
行き交う人を口説き落として買い占めたのか、ウイスキーの方が先に売り切れてしまったのか…。
真相は闇の中です。