この度、再婚することになりました。
靴下が。
世の中にはやもめ靴下というものが存在しています。
死別の理由は様々です。
指の先や足の裏に穴が空いてしまったり、口ゴムが破損してしまったり…。
中には失踪して行方をくらましたまま帰って来なかった者さえいます。
仕事は黒のノーマル靴下を履くことが多いので、この種類の靴下はやもめになっても、大切に保管しています。
同じ色・形の靴下ならペアになるでしょうと、安易に考えていたのがそもそもの間違いでした。
同じような靴下でも、全く同じ靴下は存在しないんですね。
色合いや、素材、くたびれ具合まで、個性も様々です。
手持ちのやもめ靴下が増えてきたので、お見合いパーティーを開きました。
君と君はよく似ている。一緒になったらどうだい？
嫌よ。全然似てないわ。あの人と一緒にしないで。
なんて。話を聞いても、結局本人達の意思は無視されてしまうんですから。
一番似た者同士で強制再婚させて、履いてみました。
左右違う靴下を履くなんて、とってもキュートです。スプートニクの恋人のすみれみたいです。
現実は、おじさんが左右違う靴下を履いても、可愛くも何ともありませんが。
ともかく、やもめ靴下同士の再婚生活はまだ始まったばかりです。
