鴨川もるもー

日々の日記、雑記ブログ

恋文の技術 森見登美彦

森見登美彦さんの「恋文の技術」です。

気が向いたら読む。ということを繰り返して読み進めましたので、読み終えるまでに大変時間がかかりました。

でも手紙のやり取りという形式をとっていることもあり、私にはこの読み方が1番しっくりきました。
そうです、何も急いで読み終える必要はありません。

森見さんはお手紙が大変お好きなようです。
かくいう私も、好き嫌いの2択であれば、もちろん好きを選びます。
あとがきで夏目漱石の書簡集を勧められていましたが、手紙好きの私はもちろん何度か読み返しています。

この本は至るところで、勧められていますね。
書簡集の魅力は、作家本人に話しかけられているかのような気分に浸れることでしょうか。

さて、今作も例にも漏れず、森見節が散りばめられています。
私はこういったユーモアのある文章が大好きです。
森見さんもアニメ化だ、映画化だ、舞台化だと、世の中にもてはやされていますが、本質はやはり小説だと思っています。

今作ももちろん、京都にお住まいの方にも身近に感じて頂けます。
石川県の能登半島がもう一つの舞台でもありますし、石川県にお住まいの方にも身近に感じて頂けるのではないかな、とも思います。
やはり、よく知った土地や建物、名所が出てくる文章は、親近感と愛着が増し、愛読書になること間違いなしです。

始めに書いたように書簡体小説ということもあり、区切りが多く、毎日の通学・通勤、休憩時間、就寝前の読書にももってこいです。
肩ひじ張らずに読める内容でもありますので、どうかリラックスして、気楽に読んで頂けると幸いです。
読み終えた時には、涙を流すような大きな感動も何もありませんが、ちょっと幸せな気分になれる。誰かに手紙を書きたくなる。
そんな小説だと思いますし、それが森見さんの本望ではないでしょうか。