鴨川もるもー

日々の日記、雑記ブログ

ソポクレス オイディプス王 藤沢令夫訳

元々、村上春樹海辺のカフカが好きだったので、気にはなっていた。
わざわざ買うことはないと思っていたが、10年以上気になっていたので今回わざわざ購入した。

それにしても、岩波文庫って選書渋いねー。ファンになっちゃう。年と共に好みも遷り変わり、段々と本棚に岩波文庫の本が増えてくる…。

海辺のカフカでの父親の予言。
「いつかその手で父親を殺し、いつか母親と交わることになる」
本文中でも簡単な説明はありましたが、今回ようやく理解まで辿り着きました。
物語の骨格となる話なので、読んでみるとやはりカフカ本編の理解も深まります。

オイディプス王は、勇敢さと正直さによって悲劇がもたらされる。
正に大島さんが言う通りだった。ギリシャ悲劇というのは初めて読んだが、こういった話がギリシャ悲劇なのか。よく考えられている。
ノルウェイの森でもワタナベ君が戯曲を専攻していたような。もう少し深掘りしてみても面白いか。

スフィンクスのくだり、一般的にも有名な所なので、もう少し詳しく読みたかったなぁ。
それにしても、三叉路での一件は少々荒々しいでしょう。何も皆殺しにしなくてもと思うのだが。時代が違いますねー。

今回初めて知ったのは、交わった母親は最後自殺するという点。また二人の不憫な娘がいるという点。これらは新たに読解するポイント等になりそうです。
オイディプス王は最後まで娘を慈しんで、思いやっている。そこが一貫した正直さであり、余計に物悲しい。

実際、海辺のカフカでは交わった佐伯さんは亡くなりますので。これも関係があるのか?
うん、カフカは何遍読んでも難しい。また読み返さないと。

しかし、カフカでは色々な本とも出会わせてくれた。このオイディプス王もその一つ。
やはり本は出会いだ。