鴨川もるもー

日々の日記、雑記ブログ

高速バスロマンス


高速バスが好きだ。特に夜行バス。

物語の始まりの予感が詰まっている。
どこに行こうか。着いたら何をしようか。
現実的で活動的な若さの象徴。
移動時間と宿泊費が節約できる。一度で二度美味しい。
不自由という自由。旅行しているという実感。

安いバスだと、トイレの無い4列シートだったり。
出発の時間、未搭乗の乗客を探したり、到着を少し待ってくれたり。新幹線ではありえない、愛のある光景。
ゆっくり眠りたいのに、後ろの席を気にしすぎてあまりリクライニングできなかったり。
掛け毛布が無くて、体が冷えて深く眠れなかったり。
狭いスペースで寝返りも打てず、到着後叩き起こされて、足はむくんで靴もまともに履けずに、バスから短時間で追い出される。
放り出されるのは駅前の店が全て閉まっているような早朝の時間帯。そんな早朝にどこで時間を潰せと!理想は早朝モーニングで、旅の予定を確認。地方に行くと、現実はひたすら待ちぼうけ。


チャットモンチーのバスロマンス。夜行バスがピンク色に見えたり、灰色に見えたり。

村上春樹海辺のカフカ。田村カフカ君も15歳の誕生日、夜行バスで東京から高松に向かった。家出少年はサービスエリアでさくらさんと出会う。さくらさんは家出少年を気にかけて、隣の席に移動してきたり、携帯番号渡してくれたり。
ひたすら羨ましい。そんな風に誰かに気にかけて貰いたかった。


物語の始まりを期待してみても、実際自分の隣に座るのは缶ビールを片手に持ったサラリーマン。
こういうやつがまた気持ちよさそうにイビキをかいて眠るんだ。