福満しげゆきは、あまり知られていない漫画家。最近だと、当たり障りの無い育児漫画家として、少しは認知されているかもしれない。
福満さんの作品と初めて出会ったのは、今から十年以上も前、「うちの妻ってどうでしょう？」だったか、「僕の小規模な生活」辺りの作品だったと思う。独特のトーンで話が進んでいき、どんどん興味が出てきたのを覚えている。その頃はネットで本を買う方法とか知らなくて、福満さんがマンガやアイドル写真集を売りに古本屋をハシゴしたように、福満さんの古い作品を買うために探し回った気がする。その時に入手して読んだ一冊。
ともかく、最近の作品では見られない荒々しい人生が飾ることなく描かれている。正直、自分は体験することの無かった様な人生。夢、現実との葛藤、恋愛、挫折等々。いわゆる青春。それが当時ほぼリアルタイムで描かれていたなんて！人生の結末が気になって、応援したくなる人の気持ちが分かる。
話の展開、構図等、随所に今に通じる福満さんらしさが、既に光っている。
先の見えない人生。福満さんが生きていくこと自体が、読者にとっての応援歌でもあり、最後まで見届けることが福満さんへの応援歌でもある。当時、福満さんがいることで勇気づけられた、根強いファンが多くいるのも納得できる。
一度は読んで貰いたい本。
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